眠れぬ夜は君のせい
お前の演技などお見通しだ。

そう言う意味も込めて、章子に聞く。

「――勘がお強いんですね…」

唇をあげて笑う章子だが、目は笑っていない。

俺に見通されるなんて、思っていなかったのだろう。

「ここ最近、吸血鬼を見なくなったの」

章子が言った。

見なくなった?

「死体も出なくなったのか?」

そう聞いた俺に、
「当たり前よ、吸血鬼がいないんだから」

章子は皮肉混じりに言った後、息を吐いた。

「やっと吸血鬼の特徴がつかんだから、ようやくお縄にかけられると思ったのに」
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