眠れぬ夜は君のせい
血を吸われている場所に、あげはの吐息がかかる。

不覚にも、彼女の吐息に感じている自分がいた。

躰の中を駆け回るような甘い痺れに、吸われている場所から感じる快楽。

躰の中心から溶けてしまいそうで、俺は思わずあげはにしがみついた。

セックス以上の快楽に、どこまでも堕ちてしまいそうになる。

あげはに血を奪われていたその時間は、ずいぶんと長かったような気がする。

あげはの唇が俺の首筋から離れた。

――んっ…?

「――死んで、ない…?」

俺は頬に手を当てた。
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