眠れぬ夜は君のせい
その動作に、俺の心臓がドキッ…と鳴った。

ああ、もう無理なのかも知れない。

「あげは」

あげはの名前を呼んだ次の瞬間、俺は彼女をベッドに組み敷いた。

赤い目に見下ろされる形から一転、その目から俺を見あげる形になる。

「――ッ、ご主人様…?」

いきなり俺に見下ろされて、あげはは戸惑っている。

「“正宗”だ」

俺は言った。

「――えっ…?」

「2人の時は“ご主人様”じゃない、“正宗”だ」

そう言った俺に、
「そんな…」

あげはは困ったように目を泳がせた。
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