眠れぬ夜は君のせい
あの時、倒れていたあげはを俺は拾った。

拾った彼女を俺の専属メイドとして働かせた。

彼女の秘密を知り、一夜を共にした。

何度も、何度も、深く、どこまでも堕ちて行ってしまいそうな夜を過ごした。

そして今日、朝起きたらいなかった。

跡形もなく、どこかへ消えてしまった。

まるで、最初からそこにいなかったと言うように。

煙のように消えてしまっていた。

「あげは…」

その名を、呟く。

お前は、どこに行った?

どうして、消えてしまった?
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