眠れぬ夜は君のせい
├Ageha Side
そっと、腕の中から抜け出した。
音を立てないように。
気づかれないように。
慎重に、その腕から抜け出した。
静かに寝息を立てながら眠る正宗様の顔は、この世のものとは思えないくらいに美しかった。
ずっと見ていたかったけど、やめた。
だって私は――吸血鬼だから。
「ごめんなさい、正宗様…」
小さく、呟いた。
離さないと言ってくれた。
渡さないと言ってくれた。
でも、そう言う訳にはいかないの。
音を立てないように。
気づかれないように。
慎重に、その腕から抜け出した。
静かに寝息を立てながら眠る正宗様の顔は、この世のものとは思えないくらいに美しかった。
ずっと見ていたかったけど、やめた。
だって私は――吸血鬼だから。
「ごめんなさい、正宗様…」
小さく、呟いた。
離さないと言ってくれた。
渡さないと言ってくれた。
でも、そう言う訳にはいかないの。