眠れぬ夜は君のせい
男女関係なく、無差別で血のない死体か…。

「どんな物好きか、ぜひともお目にかかりたいものだ」

俺の心の中の呟きが、思わず口に出てしまった。

「ダメですわ!」

ピシャリと、章子が言った。

「正宗様も吸血鬼のエサにされますよ」

エサニサレル?

…それなら、大歓迎だ。

退屈過ぎる日常から抜け出すことができるなら。

家柄も身分も、バカな婚約者も捨てることができるなら。

この躰を吸血鬼にくれてやる。

自分から望んで吸血鬼のエサになってやる。

自分から喜んで吸血鬼の前に現れてやる。
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