渇いた詩
ハンドルに両肘を預けて、むくれている姿。


子どもっぽい仕草でさえ惚れ惚れしてしまう。



「久弥?」



車を発進させようとしない久弥を不思議に思い話かけた。


「携帯貸せ、お母さんに電話しろ」


「はっ?なんで?さっきしたよ?」


久弥は強情にも「貸せ」の一点張り。



このままでもどうしようもないので久弥の言う通りに電話した。


「もしもし?お母さん?」


『サク?どうしたの?』


どうしたのと聞かれても久弥によって強制的に電話しているあたしには話題がない。


「えっと……あっ、ちょっと!!!」


話に困っていると久弥が無理やりあたしの携帯電話を奪った。
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