渇いた詩
「はじめまして、海藤久弥と申します。今夜、桜さんは私の家に泊めますので……ええ、……はい、ありがとうございます……はい、では。失礼します」


久弥とお母さんが何の会話をしてるかなんて検討もつかない。


電話が終わったのか久弥は携帯電話をあたしに戻した。



「もしもし?」


『ちょっとサク!!あんた、何が三橋さんの家よ!!!そんな素敵な人がいるなら初めからそう言いなさいよ!!!』


「わかった!!わかったってば!!!」


興奮してまくし立てるように喋るお母さんは誰にも止められない。



『サク、いい?』


突然、真剣な口調になったお母さんに身構える。



『既成事実、作っちゃいなさい!!!』


あたしは呆れて無言で電話を切った。
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