渇いた詩
「早く、なにしてんの?」


久弥に促されてあたしは洗面所へ向かった。


「そこのうがい薬使って、うがいは50回ね。手洗いは爪の間までしっかり。肘まで洗って」


は?


うがい?手洗い?


「言っただろ?俺は体調崩せないって。外から帰ったらこれくらい基本なの」


「なんだ……。そっちか……」


自分の勘違いに思わず脱力する。


「やーらーしー。桜ちゃん、洗面所でナニすると思ってたの?」


「違っ……そんなこと思ってない!!!」


「桜ちゃんのエッチぃ。僕、今夜寝れるかな?」


「僕とか言わないでよ、バカ!!!」


ついに恥ずかしくなって照れ隠しに久弥の足を思いっきり蹴った。
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