渇いた詩
「久弥っ!!これっ!!!」


「それ、桜に買ってきたやつだから。食べろ」



ワインとグラスふたつを抱えながら持ってきた久弥に問いかける。


久弥が“それ”と言ったパッケージには【プチガトーショコラ】と書かれている。



「コンビニだからその程度のものしかなかったけど、いいだろ?」



久弥がさっき寄り道してコンビニで買ってきたのはこのため?



「あたしさっき甘い物はいらないって……」


「俺の前まで我慢するなよ。好きなんだろ、甘い物」


「なんで……わかったの?」


久弥に甘い物が好きだなんて一言も言っていない。


「やっぱり、愛の力じゃない?」


本当に愛の力だったらどんなに嬉しいか。
< 66 / 114 >

この作品をシェア

pagetop