魔王様はボク
「はい。今、魔王国で次期魔王選抜戦の参加者を募集しているのは、特級魔族である貴女なら当然ご存知でしょう。それに僕と供に出てほしいんです。」
うん、全然知らない。
分からない単語がいっぱいだね!
まあ、このままここにいても何も始まらないうえに大変だし。
何より、せっかく初めてこの世界で見つけた話せる相手なんだから逃す手はない。
例えるなら第一村人発見!みたいな感じだよ。
あのダーツで旅するような番組。
ということで。
「いいよ。」
とあっさり返事してみた。
猫が言う通り、ボクには悩むことが出来ない虫が脳に住んでいるのかも、なんて思ったりしてみる。
適当さを感じられてしまうような返答ながらフェイは目を輝かせた。
「本当ですか!?ありがとうございます!!あ!貴女のお名前は…?」
ん、名前か、名前。
えーと、確か。
「…レオナルド・ウィンディーネ…だよ。レオンでいいよ。」
レオンでいいっていうか多分レオナルドって呼ばれても気づかないだろうし。
慣れるまでは無理。
あれ、名前合ってるよね?
脳内検索…、うん合ってる、はず。
「なるほどレオン、よろしくお願いします!では早速向かいましょう!」
フェイは元気よくそう言うと、伝導したかのように背中の翼を動いた。
本当に生えてるようだ。
それにしても、若さが伝わるようなオーラが見える気がする。
ボクはここまではしゃげるかと聞かれれば微妙なところだし。
「ところで、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「なんでもどうぞ!!」
素早い返答。
ボクの行動に注意を払ってたことが分かる。
嬉しさ故だろうか。
少々聞きづらい気もするが、まず最初に聞いておかねばならないだろう。
大事なことだし。
今後彼、フェイに色々聞こうとは思ってるが、まず初めに聞かなければいけない。
空気読めてないだろうけど聞くよ。
「ボクって魔族なの?」
「…え?」
ああ、やっぱり固まっちゃった。