魔王様はボク

第二話 エントリー


魔王国。
それはその名前の通り、魔王が統治している国。
住人は当然、魔物と魔族。
だが魔物がずっと国にいるなんてことはなく、ほとんどいない。
魔族も城で魔王に仕えている者以外は大概いないらしい。
魔王が呼びかければ集まるが、それ以外はとても寂しい国。

というのがこれまでにフェイから聞いた話である。

今ボク達は、その魔王国にいる。
正確には魔王国のお城の側の宿屋の一室。

部屋の窓から外を見ると、すでに空は赤く染まっていた。

フェイの手を取ってから、大分長く飛んでいた気がする。
正直言って疲れた。
身体的にではなく精神的に。

部屋に備え付けられているベッドに寝転ぶ。
その硬さからあまりいいものではないようだけど、十分だ。

今フェイは食堂から夕食を取りに行っている。
ちなみにこの部屋は2階、食堂は一階だ。

一応男女のボクらだが、部屋は一緒。
まあ、心配するようなこともないだろう。

それにしても、もはやボクが魔族らしいというのは確定だな。
ここまで来て違ったらむしろ困る。

たまたま魔族だったのか、それとも猫が故意にやったのかは分からない。
わざとだとしたら何が目的なんだろう。
自由に生きろみたいなことを言っておいて、実は何かさせる気だったんだろうか。

うん、ここで考えてても答えは出ないな。
とりあえずは流れに見を任せよう。
実際楽しくないわけではないし。

フェイが戻ってきたら色々聞こう。
魔族とか魔法とか、聞くことは沢山ある。

魔王選抜戦も、よく分からないくせに出るって言ったわけだし。
まあなんとなく名前で予想つくけど。

明日はエントリーに行くと言っていた。
今更逃げられないし、素直に従うのが得策。

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