魔王様はボク
おそらくは基本であろうが仕方ない。
「魔物と魔族って何が違うの?」
案の定、フェイは苦笑いを浮かべた。
もしかしたら呆れているのかもしれない。
話してくれるか不安が過ぎったが、フェイは口を開いてくれた。
「えーと、まず魔族には4種類あるんだよ。」
ボクは話を聞きながらパンをかじる。
正直、口の中がもさもさするのは内緒。
「下から低級、中級、上級、特級。僕は上級で、レオンは特級。つまり、レオンは一番上の階級ということだよぉ。」
フェイはそう言いながら、シチューに手をかけた。
スプーンを使い、口に含んだ。
特級ねえ…。
なにやら凄そうだがぱっと伝わらない。
えと、何かに例えるなら身分だろうか。
少々例えが悪いが、低級は下民、特級は王様だろうか。
ボクにそんな偉い権利が与えられるとは思えないが。
ところで。
「なんでボクが特級魔族だって分かるの?」
見た目…だろうか。
しかし特に変わったところはないように見える。
むしろ、翼が生えているフェイの方が上のように思えるな。
ボクは恐る恐るシチューの皿を手に取り、スプーンで一口すくって眺めてみた。
残念ながら料理はあまり作ったことがないボクには、それがどろりとした白い液体にしか見えない。
スプーンですくえなかった、皿に残る具らしきものも、オレンジの塊と緑の葉という曖昧な認識しか出来ない。
「んー…、それはちょっと話が先に行っちゃうんだけど、所謂魔力だよ。」
魔力ねえ…。
確かに話が先に進んでしまうな。
「レオンが魔物を殴った時、手が光ってたのを覚えてる?あれは魔力なんだよ。」
あの熊もどきを殴ったときでしょ。
ボクはてっきり猫が何かしたのかと思ってたが、どうやら違うらしい。
あれがボク自身がしたものだとは、にわかに信じられないけど。
「その魔力がとっても強かったから、特級魔族だって分かったんだよ。」
なるほどと言っておく。
分かったとは言えないが、おそらくフェイの説明が先に進めば理解出来るかもしれないから。
ボクはようやく意を決してシチューを口に含んだ。
…うん、牛乳を忘れたシチューみたいな味がする。
まずくはない。