魔王様はボク
魔王か。
勇者に倒されるあれでしょ。
最後二段階で面倒臭いあれでしょ。
「毎回魔王様が選ばれる方法は違うんだぁ。世襲だったり、指名だったり、選挙だったり。今年は大会みたいにして選ぶんだってぇ。」
やはりそれで魔王争奪戦なのだな。
なんて人事みたいに言ってるけど、ボク参加するんだよね。
大丈夫かな。
それにしても世襲とか選挙とか、議員とかに似ているね。
この世界はわりとボクが馴染みやすい世界なのかもしれない。
「詳しく教えてよ。魔王争奪戦について。」
ボクはようやく食べ終わった後の皿をお盆に乗せる。
なかなか美味しかったよ。
食べれるものがあって安心もしたし。
「今回は第89代目魔王様を決めるんだ。参加者は特級魔族のみ。サポーターとして上級魔族を連れて参加するんだ。」
なるほど、それでフェイは特級魔族を捜してたのか。
特級魔族は上級魔族が必要で、上級魔族は特級魔族が必要。
これによって更に参加者が絞られるわけだね。
さっき聞き忘れたことを思い出した。
「そういえば特級魔族って珍しいの?」
捜してたくらいだからそれなりだとは思うが。
「珍しいよぉ。上級ならいっぱいいるけど、僕今まで生きてきてまだ五人くらいにしかあったことないし。」
ううん、微妙だ。
フェイの歳で五人なら結構いると思うが。
…フェイの歳って結局何。
「フェイって何歳?」
ボクが尋ねるとフェイはニコリとした。
「この前92になったよぉ。」
フェイが答えるとボクはピキリとした。
頬がね。
え、ボクより何歳上?
凄い年上ってこと?
ほんの二、三歳違いかな程度にしか思ってなかったよ?
やっぱり魔族とかって寿命とか人間と違うのかな。
そしたら、魔王様の89代目ってボクが思っている以上に歴史がある?
学校と一緒の数字っぽいね、なんて軽く見てたよ。
実は大陸一つ分くらい重かったんだね。
「どうしたのぉ?」
ボクの頬が引き攣っているのに気づいたらしくフェイが聞いてきた。
なんと答えるべき?
正直に行こう。
ここは素直に行った方が不信感を生まない気がする。