魔王様はボク
パジャマを着たついでにペンダントを身につけた。
温まった体に銀の冷たさが触る。
まっすぐ自室に向かわず、リビングへと入る。
父親と母親がテレビを見ていた。
今日は特に面白い番組はやってないからなぁ…。
ボクは見る必要もないかなと思う。
冷蔵庫を開け、入っていた葡萄ジュースを取り、口に含んだ。
やっぱりスーパーのCGCジュースは美味しい。
一日一回は飲みたい美味さだね!!
何か軽く食べれるものはないかと見回してみる。
お、これは…。
「麗音、キムチつまみ食いしちゃだめだからね。」
おや、母親の鋭いツッコミ。
何を隠そう、ボクは辛いもの大好き人間なのさ!!
一日三食辛いものでもいけるよ!
なんて無理。
さすがに飽きる。
そこまで好きではないし。
辛いものは得意なだけ。
ハバネロとか豆板醤とか大丈夫。
ボクは自分の好みがよく分からない。
これといって熱中出来るものもない。
友達が漫画やアニメに熱中出来る気持ちも分からないし、恋愛に熱中して彼氏彼女を求める気持ちも分からない。
てか恋自体したことない。
別に熱中することを悪いことなんて言わない。
むしろいいことだと思う。
熱中するものがあれば未練が生まれる。
ボクはない、というかどうでもよくて。
自分の命もどうでもいい。
学校で友達と話す時は、あの猫に接した時みたいな態度じゃない。
面白くて明るい、ブラス思考でマイペースな人間。
咄嗟過ぎて出来なかった。
ああ、やっぱり動揺してたのかもしれない。
「何なら食べていい?」
母親に聞くと、
「今食べると太るよ。」
と言われてしまった。
太るなんて気にしないよ!!
とか言えたらいいけど、そういうわけにもいかない。
一応花の女子高生である。
なんて言ってみる。
冷蔵庫の中にあったプリンを密かに取る。
凜音の分も。
だから二個。
スプーンも忘れず、プリンを見られないようにして、ボクはリビングから自室へ移動した。