君に、会いたくなった
「雪乃の一目惚れの相手ってどんな感じなの?」

 昼休み。

 いつもみたいに私達は屋上に弁当を広げて食べていた。


「うーん、カッコよくて、優しくて、背が高くて…「あー、で、その先輩とは何回も話したことあるんでしょ?」

「ないよ?」


へ…?



 即答だった。

 思わず目が点になった。


「え?そんな驚くことかな…」

「あぁ、いや、なんでもない。」


 少し笑ってみたけど、雪乃のそのぽかんとした顔は変わらなかった。

「そろそろ戻ろっか。」


 コクンと頷き私もつられて立ち上がる。


 太陽が、雲に隠れ始めた。

 今日は雨が降るかも…なんて思いながら屋上を出た。




「あ…」

 教室に戻る途中、雪乃は突然停止して声を漏らした。

 そんな雪乃に気づかない私は、トンッと雪乃にぶつかった。


「わわっ、どうしたの?」


「隼人先輩…」


 その名前を聞いて自然と視線が雪乃お視線の先へと移る。


 私の目に映ったのは、2人並んで歩く男子生徒。内履きは、見るからに3年生の物。

 雪乃の顔がほんのり赤くなっているのが見えた。

 
 きっと、雪乃の言う隼人先輩は右側の方。長身で、少し明るめの茶色をした髪とすごく整った顔立ち。

 
 ありゃ、雪乃も惚れるわけだ…

 ふと、隣の人に視線が行く。



 
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