君に、会いたくなった
「先輩の好きな人って、一花先輩でしょ。」


「あ、分かっちゃった?」


「あんなに心配してれば嫌でも分かります。」



 昨日と同じ道を歩いてるのに遠く感じる。



 先輩は気づいてないみたいだけど。


「でもさ、一花には彼氏がいるんだよな…」



 そうなの?じゃあ何で好きなの?諦めればいいのに。


「いつから一花先輩の事好きだったんですか?」


「小学校の時から。」


しょっ……!!



「幼馴染だから。」


 海先輩はいつもみたいに優しく微笑んだ。




「………諦めればいいじゃん。」



 誰にも聞こえないくらい小さい声で呟いた。



「それができれば苦労しねぇよ…」


 聞こえてたんだ。



 髪をくしゃっと掴んだ海先輩の横顔はすごく寂しそうだった。私だったらこんな思いさせないのに。


 

「だってさ、苦しくないんですか?自分が好きな人は自分でなくほかの人のことしか見てないって。」







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