君に、会いたくなった
「お待たせしました。遅れてすみませんっ!」


 掃除は10分近く遅れてしまった。


 原因は私…。ゴミ捨てが遅かったから。





「いいよ。帰ろ?」


 そういうと、先輩は前と同じ大きな傘を広げた。



 その中に飛び込むようにして入った。


 しばらくは沈黙が続いた。


 そして、その沈黙を破るように私は口を開いた。
 


「先輩、まだ好きなんですか?」


 ザーザーと大きな雨の音が響く中、この傘の中だけは静かに感じた。



「もう好きじゃないよ…」



 それは、いつものような大人っぽくて優しい先輩の声とは違った。


 

「諦めたんですか?」



 私達は、お互いの顔を見ずに会話を続ける。



「振られちゃったし…」





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