君に、会いたくなった
「海先輩、諦めたって、それ信じてもいいですか？」



　私はただ真っ直ぐ見てそう言った。


　きっと先輩の頭には？がいっぱいあるに違いない。



　
　
　私だったらそんな思いさせない。　

　第一に先輩の事考えるし、いっつも一緒に居る。




「だから、私と付き合おうよ…」



　立ち止まり、眉を寄せて今にも泣きそうなのを堪えながら先輩を見上げてそう言った。


　先輩が一歩先を歩いてたから、私は傘から出てしまった。



　先輩は振り返って目を大きく見開いた。


　だんだんずぶ濡れになっていく私に近づき、何も言わずに鞄からタオルを出して頭をガシガシと拭いてくれた。




「わり、俺やっぱ一花の事好きだわ。」




　返事なんか言う前からわかってた。


　だけど……




「嘘つき……」



　
　諦めたって言ったのに。振られたからって、言ってたのに…


　雨に混じりながら、私は涙を流した。




「そんなに泣くなよ。」


　それから手をつないで帰った。


　後輩だから。これから先、私と先輩は、先輩後輩の関係でしかないんだ。



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