ありのまま、愛すること。
結婚生活の最初のうちは、妻は母に嫉妬していたかもしれないんです。

いざ蓋を開けてみれば、私があまりにも母親の話ばかりするものですから。

でも、途中から諦めたんだと思います。

これは、私の母親と競争しても、仕方ないなあと。

それは結婚して何年か経ったころでしょうかね。

いま妻は、仏間をいつも、きれいにしてくれていますし、私がいかに、父母と祖母の3人が入っている仏間を大切にしているかを、よくわかってくれていると思います。

妻の父親はすでに亡くなっていますが、母親は元気で、3月の東日本大震災で被災した福島県の小名浜に住んでいます。

私は母の話をよく妻にしてきましたが、それは「母親のようになりなさい」という意味ではないんです。妻には妻としてのアイデンティティを認めているつもりです。

妻は元々しっかり者で、自立している女性。

「将来、私が仕事で1週間家に帰らなくても、しっかり子どもたちを守ってくれるんじゃないか」、

そう思って私はプロポーズしたんですね。

私にとっての「社長の妻」というイメージの通りの人が、あのときのレストランにいたんです。

2歳年上ですし、そういう面でもしっかりしている人です。



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