ありのまま、愛すること。
今、あらためてこの設立趣意書を読むとき、「頑張るぞ!」と力が湧いてきます。この言葉は私の本気だからです。

SAJでは現在、カンボジアに現地事務所を構え、現地のスタッフを雇っています。

学校を建ててほしいという要望がカンボジアやネパールの各町村から入ると、スタッフが現地に向かい、本当に学校が必要なのか、住民の意識はどうなのかなどを徹底的に調査し、それらを踏まえたうえで建設に取り掛かるのです。

カンボジアでは、1975年から3年8カ月にわたるポル・ポト政権下で、国民全人口の半数の300万人が殺害されました。

プノンペン市民200万人は一人残らず市内から追い出され、学校・病院は廃止され、知識人はことごとく殺されたそうです。

学校をつくると嘘をつき、集まった先生をそのままトラックに乗せて殺害したり、留学生が船で帰国すると、そのまま殺したりしたそうです。

ポル・ポト政権が終わり、内戦を経て、カンボジアを統括する人が誰もいなくなり、国連が「国連カンボジア暫定統括機構」を組織したのが1992年です。

そのとき、各国の新聞社が読み書きのできるカンボジア人を探したそうですが、地図を見てカンボジアを識別できる人さえ、一人もいなかったそうです。それほどまでに徹底した「知識人」の排除でした。

ポル・ポトは、一体なにをしようとしたのでしょうか。

なにも考えず、なにも語らせず、国民を「家畜」にでもしたかったのでしょうか。



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