ありのまま、愛すること。
しかし、孤児院の子どもたちの笑顔を見ているうちに、その重さがふっと軽くなる瞬間がありました。そのとき私は、ようやく孤児院の名前を決めたのです。

「希望」や「夢」に最も遠い彼らにこそ「希望」や「夢」を追わせてあげたい。

彼らの「幸せ」になりたい。きっとそれを、可能にするに違いないと確信していました。


「夢追う子どもたちの家」


この名前こそ、彼らの家にふさわしいと、そう感じました。

それから、プノンペンの孤児院の院長と話をしました。

奥さんと共に、140人の子どもたちと24時間生活をしているそうです。

お金の工面も決して楽ではありません。

寝る時間以外、365日すべての時間を孤児のために捧げています。

思わず、「大変でしょう」と語りかけました。

「毎日、毎日、いろんな問題が起きます。寝る時間もありません。大変と言えば、大変です」。

ここで彼は言葉を切り、それから子どもたちと一緒に勉強をしているという日本語で、大きな声でゆっくりと、こう言いました。

「でも、本当に幸せです」

私は心が震えていました。


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