ありのまま、愛すること。

自分のことはなりふり構わず、わが子のためにすべての時間を費やしているそのお母さんに、宗教はどれほど有益なのか、あるいは、聖書を勉強する時間さえ取ることができない彼女たち親子には、神様の手は差し伸べられないのではないか。

熱心に布教してきた15歳の私にとって、そこで大きな矛盾が立ちはだかったのです。

答えの出ない私はすぐに、牧師にこれを打ち明けました。

「あのお母さんはいい人だっていうのは、これまで接してきたなかで僕にはわかります。でも、朝から晩まで子どもの面倒をみている彼女には、聖書を勉強する時間はない。それでも最後には、神は助けてくれますよね？」

すると牧師はこうのたもうたのです。

「いいえ、どんな人でも、どんな状況にある人でも、本当に羊になれる人は必ず勉強するんです。5分でも10分でも、1時間でも、しっかりと勉強した人しか、神はクリスチャンになさらないのです」

この一言で私はすっかり冷めた。

それはね～だろ、そんな言い方ね～だろ!　一生懸命に生きている親子なんだよ、ホントにいい人たちなんだよ。

それでも神は、この人たちを殺すのか……。