三題噺。
「唇、嘘、甘い」
唇についたココアパウダー
君が口角をあげて食べるガトーショコラ
「おいしい?」僕がきくと
君は優しい笑顔で頷く。
僕の前にはブラックコーヒー1つだけ。
目の前にだされたフォークには
甘い甘い君の優しさ。
「たべる?」ときく彼女には
首を横に振るだけで。
ブラックコーヒーで顔を歪ませてしまう
僕にはその仕草が精一杯で。
君の前でかっこつけたいためだけに
僕はつまらない嘘をつく。
甘い甘い優しさと君の笑顔が好きだから。