死せる前に君を斬る
…一瞬、殺されるかと思った。
首筋に指を滑らせると
乾きかけた血がかすかに付いた
まだ早い鼓動は
先ほど確かに恐怖を感じたという証拠。
私は死ぬことに
何も恐れを感じないのに。
―――感じないと思ってたのに
胸に手をあてると
小さな人質の少女は
その場に崩れるように座り込んだ。
これから私は
死ぬことに怯えながら
生きていかなければならない…。
人質としての屈辱を背負いながら生きていく恐怖と
人質として殺されてしまうという死の恐怖
少女は小さく涙を流した。