死せる前に君を斬る
レスピアンの夜は美しかった。
祖国で見た夜空と何一つ
違わない景色は無数に瞬く
星で覆われていた。
窓から一人
星空を眺めていたアサーラの
耳に金属の扉の開く音が
聞こえた。
振り返ると
昼間、アサーラの首に
切り傷を入れたあの男が
無愛想に立っていた。
「国王陛下がお呼びです。」
「分かりました。」
着いてきて下さい、と
男は合図すると
アサーラは黙って
その後に着いて行った。