死せる前に君を斬る
「お呼びでしょうか、ラウロ様」
敬礼をして現れた人物は軍服を身にまとっていた。
その姿を目にした途端、アサーラの目が怒りに染まった。
「人殺し!」
容赦なく吐き捨てられる言葉を気にもせず
その男は王の言葉を待っていた。
「ビュヒナー将軍、その子を部屋へご案内してくれ」
「了解いたしました」
そう言うと男はアサ―ラの方へ向き直り
手を掴んで連れて行こうとした。
「触るな!」
しかしアサーラは声を荒げて
その手を振りほどいた。
「少々手荒なまねをしても誰も文句は言うまい」
王は退屈そうに指輪をいじりながら言った。