死せる前に君を斬る
窓から見える町並みは美しく、その奥には海岸が広がっていた。
「素晴らしい景色でしょう?」
いつの間にかアサ―ラの隣にいた男が言った。
「何故、私を殺さないの。」
質問とはかなり的を外れている姫の問いに
男は思わず口元を緩めた。
「殺されたいのですか?」
「何故、殺さないの。」
もう一度アサ―ラは無機質な表情で問うと
窓に取り付けられている鉄格子に手をかけた。
「それは人の力では外れませんよ。」
先ほどまでの張り付けたような笑みは消え
目の前の少女よりも無機質に無表情で男は言う。