愛し方を忘レた僕等




校門に着くと、あたしはカイチと距離をおいた。


その瞬間にカイチの周りは女に埋めつくされた。

「カーイチ!明日はあたしと一緒に登校しようよぉ~」

「ちょっと!あたしが先に約束してるんだけど!」

「あの女よりあたしと登校してよ!」

取り巻きの女があたしを下品に指差す。

あー、面倒だな。



カイチはモテる。
いわゆるイケメンだ。


「つうかお前らさー、俺と家の方向違うじゃん!無理だっつーの!リホはたまたま一緒になるだけだし!」


カイチの周りでは笑いがおこる。
揉め事も、すぐになくなってしまう。


カイチは優しい。

いつもいつも助けてもらってばかり。
こんな人間、いないんじゃないかな。


優しすぎて・・・、
本当に優しすぎて・・・、




―――――居心地が悪い。



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