FRESH LEMONADE

高校生にして、ファンが学校に殺到する。
そんな人を、あたしは今までに見たことがない。

人を惹き付け魅了する、芸能人みたいな力を彼は持っているんだと思う。


だからって……｢そんな…人の価値って顔とか…そーゆーんじゃないと思う…
あなただって…顔だけでこんなに騒がれてるわけじゃない……と…思います｣




初対面の人に向かって
あたしは熱く語っていた



ふざけたようにそんなことを言う彼の横顔が
寂しそうだったから…


それに自分の価値を顔だけって思うなんて

そんなの…悲しすぎる






「…あんた、愛されて育ったんだな」

「え…？」



『ただいまより第42回、青陵高校の入学式を開催いたします』




彼がつぶやいた言葉は、会場係のオバサンのアナウンスに掻き消されてあたしははっきりと聞き取ることが出来なかった…







この日、彼と出会ったことがあたしの人生を大きく変えることを、この時のあたしは全くわかっていなかった…