FRESH LEMONADE
入学式から目立っていた彼は、式が終わり皆で教室に戻ってからもやっぱり目立っていた



偶然にも彼の席はあたしの1つ前

私の目の前に座る彼を、クラス中が注目していた



気にしないそぶりを見せていても、体のどこかの神経は彼を捉えている

…そんな感じ





そーいえば名前、…なんていうんだろう?



入口に貼ってあった座席表を思い出す


あたしの1コ前…




『関英嗣』



確か、そんなような名前だった気がする…



そんなことを考えていたら、担任の先生がやって来てこれからのことを説明しだした




だけど…

皆があまり話を聞いていないのがわかる



まだ『関英嗣』を意識しているから




当の本人はといえば、さっきからずっと下を向いている…



『俺、顔しか価値ないし』



さっきの彼の言葉が頭を過ぎる



やっぱり、自分で言ってても傷ついたのかも知れな…



「あ、やべ死んだ」



微かに彼の声が聞こえた




……死んだ?




彼の手元をみると、右手には携帯電話が握られていた



画面は……ドラクエ?





下を向いてたのは、ドラクエに夢中だから?




『関英嗣』は不思議な人だ
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