starry night
貼り付けた笑顔がはがれてしまわないように
私は必死に口角に力を入れる。
先生が教室に入ってきて
散るようにみんなが席に戻りだす瞬間
私は心底ほっとする。
起立、礼、着席
日直の、まるで気持ちの入っていない声に従って
みんな、魂のカケラもないお辞儀をする。
失礼極まりない、と感じるけれど
先生も同じだから、お互い様なのだろう。
その時、教室の後ろのドアが開いて
私は、心地の良い風を肌に感じた。
「キサラギー。遅いぞ。」
先生の言葉に目も合わせずに、彼女は自分の席に座る。
先生は少しだけ彼女を見つめて、何もなかったかのように
教科書を開いて淡々と授業を始めた。