starry night


私は向きを変えて、その子の顔を見た。




見たことがあるような、ないような
子羊のような女の子だな、と思った。




「あ、あの。昼休み終わったので、鍵…閉めますけど…どうします?」




ひどく怯えたように話す様子に、私は少しイライラした。



「…どうします?って。出ていけって言えばいいじゃん。」



自分でも、キツイ性格は自覚している。


泣かれたら、面倒だな。


だけど彼女は、震えながらも、続けた。



「でも……あまりにこの場所から、離れるのが辛そうだったから。」



眼が、真っ黒で、奥が強く光っているような
そんな気がした。



「…別に。」



何だったのだろうか?

私は彼女の顔を見ることなく、足早に図書室を出た。









< 15 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop