starry night
私は向きを変えて、その子の顔を見た。
見たことがあるような、ないような
子羊のような女の子だな、と思った。
「あ、あの。昼休み終わったので、鍵…閉めますけど…どうします?」
ひどく怯えたように話す様子に、私は少しイライラした。
「…どうします?って。出ていけって言えばいいじゃん。」
自分でも、キツイ性格は自覚している。
泣かれたら、面倒だな。
だけど彼女は、震えながらも、続けた。
「でも……あまりにこの場所から、離れるのが辛そうだったから。」
眼が、真っ黒で、奥が強く光っているような
そんな気がした。
「…別に。」
何だったのだろうか?
私は彼女の顔を見ることなく、足早に図書室を出た。