starry night
「おい、そこでなにをしてるんだ?」
警備のおじさんだった。
薄汚れた作業着のような服を着て
少し息を切らせたおじさんは
青白い顔で私に尋ねた。
「…べつに。」
「危ないから、早く出なさい。」
「別に悪いことなんてしないけど。煙草も持ってないし。」
「そうゆうことじゃない。昔、ここから人が落ちた。だから早く出るんだ。いいな。」
警備のおじさんはそう言うと、さっさと出て行った。
私はしぶしぶその後に続いた。
私の居場所は、一瞬で奪われた。
警備員のおじさんの背中に、100回くらい、バカとつぶやいた。
心の中でだけど。