山荒の鳴く夜
御陵衛士の首魁である伊東 甲子太郎は既に斬殺された。

平助と同じく新撰組を脱退して御陵衛士に寝返った毛内 有之助、服部 武雄もまた、隊士達の刃によって血の海に沈む。

残るは平助ただ一人。

(せめて侍らしく、真っ向から戦って死ぬか)

残る力を振り絞り、愛刀の柄を絞るように握る。

包囲を狭めてくる新撰組の隊士達。

最早退路は絶たれた。

考える事は唯一つ。

如何にして侍らしく散るか。

後世に恥としてその名が残らぬように、潔い死に様を見せられるかどうか。

「北辰一刀流、藤堂 平助!その死に様篤と見ておけ!」

咆哮と共に平助は一歩踏み出す!

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