山荒の鳴く夜
血で血を洗う粛清の真っ只中の新撰組。

その面々を、獣は赤い眼でギロリと見据えた。

そして次の瞬間!

「うぎっ!」

「いっ…ぎゃあぁぁぁ!」

平隊士達が次々と悲鳴を上げる。

獣がこちらに向き直ったかと思うと、突然『何か』を放って平隊士達を襲ったのだ。

『何か』は例外なく永倉や原田にも飛んでくる!

「ちっ!」

何が飛んできたのか、見えてはいない。

しかしながら彼らとて超一流の剣客だ。

襲い来る殺気と気配のみで、原田は飛来する『何か』を槍の一振りで叩き落とす!

キンッ!と軽い金属のような音。

同時に地面にそれが落ちる。

「これは…」

永倉が地面に落ちた、一尺(約30センチ)ほどの針を拾い上げる。

「あの獣の体毛…か?」

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