山荒の鳴く夜
ただ…。

椿は思う。

あの人外は思い違いをしているのだ。

この幕末という時代。

過去の戦と違い、領地だ国盗りだという理由で動乱が起きている訳ではない。

黒船来航より始まった日本の混乱期。

今この国は、大きな岐路に立たされている。

鎖国を続けて封建的なままで進んでいくのか、それとも西欧列強の文化を取り入れ、新たなる国としてここから一歩を踏み出すのか。

幕府と志士、大きく二分はされているものの、根本的な思いは一つ。

皆、この国をより良くしていきたい。

皆一様に、この国の行く末を憂い、案じているのだ。

思いは違えど、皆が憂国の士。

その為に、『僕達』は…!

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