山荒の鳴く夜
ちょうどその頃。

椿と別れた平助は、油小路に来ていた。

…かつて新撰組の仲間達によって、平助が粛清されかかった場所。

あの夜あの人外がこの場に現れなければ、今の平助はなかった。

とうの昔にかつての仲間達に斬られ、刀の錆となっていたであろう。

それが何の因果か、本来死んでいた筈の平助はこうして生き残り、新撰組は局長の近藤 勇を失い、一番隊組長の沖田 総司を失い、副長の土方 歳三率いる僅かな隊士達が、北へ北へと転戦している。

残る組長はあと何人くらいなのだろう。

斎藤と、永倉と…。

何人が、この動乱を生き延びられるのだろう。

数々の修羅場を共にした新撰組がこのまま志士達によって消滅していくのだと思うと、褪めた気持ちにになっていく。

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