山荒の鳴く夜
強張るシイの顔。

その表情が。

「流石は壬生狼。洞察力が半端じゃねぇな」

残忍な笑みへと変わる。

…これ程の壮絶とも言える笑みを、平助は見た事がない。

人を斬る感触や、血の色に魅せられて狂気に走った人斬りでさえ、このような笑みは浮かべない。

狂気に走っても、人間は人間でしかない。

しかしシイは違う。

この男は人間ではないのだ。

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