山荒の鳴く夜
思えば、伊東の口車に乗せられて御陵衛士なんぞに加わったのは間違いだったのかもな。

時勢を見て勤王倒幕派に寝返るなんざ、俺らしくもねぇ。

言うなれば魔がさしたって奴か。

だが、そいつぁこっちの言い分だ。

認めちゃくれねぇよなぁ、永倉、原田…!

愛刀の柄を握り直し、しっかりと足場を踏み締める。

一度は新撰組八番隊組長として京でその名を轟かせた身だ。

死に際くらい、新撰組の法度に従ってみるか。

「局中法度…敵前逃亡は士道不覚悟!」

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