山荒の鳴く夜
椿は初撃と変わらぬ鋭い踏み込みを見せた。

確かに踏み込みの音は一回。

踏み込みの足音は一度しか鳴らなかったのだ。

当然シイはその一度の刺突を回避する。

しかし!

「なにっ!?」

頬を掠める痛み。

それは明らかに刃が斬り付ける痛みだった。

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