山荒の鳴く夜
最早死に体となったシイ。

だが壬生狼は手を緩めない。

完璧に息の根を止めるまで、その牙を突き立てる!

「人外、シイ…」

愛染虎壱の切っ先が、鋭く光る。

「御命頂戴」

死に逝くシイが見た最期の光景。

それは己の顔面に迫る、三度目の刺突だった。

三段突き。

新撰組一番隊組長、沖田 総司が最も得意とした技。

最早誰も繰り出す事のできぬであろう神技を以って、幕末の京を震撼させた妖怪変化はこの世から葬り去られたのである…。

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