山荒の鳴く夜
「これからお前はどこに行くのだ?」
敵方がどこに行こうと知った事ではない。
本来ならばその筈。
しかし椿は思わず訊ねる。
…この動乱で、同胞も敵も、多くが命を失った。
顔見知りならば、例え敵でもその行く末が気になる。
剣を交えたとはいえ、同じ死線を潜り抜けた者同士、親しみすら感じているのかもしれない。
「さぁな…こんな時代だ。どこに『逝く』のかなんてわからねぇな」
振り向く事なく、平助は手を上げて歩き始める。
敵方がどこに行こうと知った事ではない。
本来ならばその筈。
しかし椿は思わず訊ねる。
…この動乱で、同胞も敵も、多くが命を失った。
顔見知りならば、例え敵でもその行く末が気になる。
剣を交えたとはいえ、同じ死線を潜り抜けた者同士、親しみすら感じているのかもしれない。
「さぁな…こんな時代だ。どこに『逝く』のかなんてわからねぇな」
振り向く事なく、平助は手を上げて歩き始める。