真っ赤な果実
「…ところでさ、さっき泣いてなかった??」
大和は思い出したように急に問いかけた。
すると、友里の目に悲しい色が入り、大粒の涙をこぼした。
いつもの大和ならめんどくさがるが、今回は違った。
想いより先に体が動いていた。
友里を抱きしめ、頭を優しく撫でていた。
「…せん、ぱぃ?」
友里はびっくりしていた。
でも大和はもっとびっくりしていた。
友里から離れた大和は、近くにあった油性のペンで友里の手の甲に、自分のアドレスをかいた。
「…落ち着いたら、連絡して。
一人で背負いこむな。
誰かに頼ってもいいんだ。
話したくなかったら、ヒマつぶしにでも使えばいいから。」
そういって優しく笑いかけた。