真っ赤な果実
父親がサインをし、ペンをおいた瞬間…。
友輝は下唇をかみしめた。
そして、友里を抱きしめ、小さな声で囁いた。
「ゆーり。これから、何があっても大丈夫だ。
誰かがいなくなっても、僕がいる。
お兄ちゃんがゆーりを守り抜いてやる。」
「うん。」
また強く、友輝は友里を抱きしめ、呟いた。
「大丈夫。大丈夫。」
まるで自分に言い聞かせるかのように…。
友里を抱きしめるその小さな手は、ふるえていた。