真っ赤な果実
その数日後、友里たちの母は家をでた。
「ままぁぁぁぁ!?」
友里は母親がいないことに戸惑い、号泣していた。
「大丈夫だよ。
僕がいるから…。」
友輝が慰めると、友里はすぐ泣きやんだ。
「これくらい、大丈夫だ。
ゆーりもいる。
大丈夫、大丈夫…。」
その夜、友輝は布団の中で呟いた。
しかし、幼い兄妹に訪れた不幸はこれだけではなかった。
なんと今度は、父親まで出て行ってしまったのだ。
友里は泣いた。
大きな声をあげて泣いていた。
友輝は慰めようと、友里を抱きしめた。
「大丈夫、大…ッ。」
友輝はあふれる涙をこらえた。
「友里、僕がいるから…。」
声が震えることさえ押さえ、友輝は友里を慰め続けた。