真っ赤な果実
―カチッ―
手術中の明かりがきえた。
大和は友里を起こす。
「最善は尽くしましたが…。」
聞こえてくるのは失敗の時の決まり文句だった。
友里は、運ばれてくる祖母の手を握り、ありがとうと呟いて涙を流しながら微笑んだ。
「おばぁちゃんは、あたしが泣くと心配しちゃう…。
最期まで心配かけたくない。
泣いてる事より、あたしはお礼がしたい。」
沢山の悲しみの中に、強い信念を掲げて、友里は笑った。