真っ赤な果実
「へぇ…。
可愛い小柄のくせにすげぇじゃん♪」
友輝さんは笑顔だった。
勝負をしかけた俺の方がひるんでしまった。
友輝さんはフリースローエリアに立った。
「スリーですよ?」
俺が少し戸惑っていうと、友輝さんは後ろを向き、反対のゴールにシュートした。
俺はその超ロング―シュートに目を奪われた。
揺るがないボールの軌道。
綺麗な弧。
何にも触れずに決めた、ストレート。
ボールがゴールに吸い込まれた。
その後もすごかった。
友輝さんの触っているボールは、まるで友輝さんの従順なペットのようだった。
しかも友輝さんは、羽根でも生えているかのように、飛ぶんだ。
「名前は?」
「澤村、大和です。」
その時、俺はすでに友輝さんを尊敬していた。
初めて会って、30分も経ってなかったのに…。