真っ赤な果実



やめたはずなのに、土曜日に呼び出された。


「澤村!!お前どういうつもりだ!!」


いきなり監督に怒鳴られた。

なんの事だか分からなかった。


「部費がなくなって、代わりにお前の生徒手帳が落ちてたんだ。」



仕返しが古いな~。と思いながら聞いていたら、監督が手を振り上げた。



「聞いてんのか!?」


殴りたいなら殴ればいいと思った。



―パンッ―

乾いた音が響く。

しかし、俺の頬は痛くない。



「って~…。

監督、俺に大和と話す機会をください。」



俺の前には友輝さんがいた。



「……どうして?」

俺なんかのために…。


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