真っ赤な果実



友里は大和をジッと見ながら呟いた。


「想像を裏切りませんね…。」


「え??」


「ミルクも、シロップも入れない…。

大和先輩はブラックがよくお似合いです。」



大和は持っていたコップを、目線の高さまであげて、振ってみた。

氷がコップにあたり、カラカラと涼しげな音をたてる。


それを見ながら友里に問う。



「いい意味?悪い意味?」


友里は小さな声で笑った。

「どーでしょう?」



「なんだとコラ?」

大和は笑いながらコップを乱暴に置いた。



それで友里はさらに笑っていた。
大和も声を出して笑っていた。



しばらくして、大和が急に真剣な顔になった。


< 97 / 108 >

この作品をシェア

pagetop